心に垣をせよ #27 ガコンッ 「おぉぉふ…お前昨日風邪で休んだから今日死んでるかと思ったら…何今のダンク超気合い入ってんじゃん?」 「森山先輩…俺にはもう…時間が無いんス…」 「…え、何お前余命宣告受けたの?」 「森山先輩…今の俺めっちゃ燃えてるんス…それ以上近づくと火傷するッスよ?」 「……………」 翌日の朝練。誰の目から見てもわかる。俺は気合いに満ち溢れていた。むしろ気合いしか無い。いくら昨日なまえ先輩とちゅー出来たからってエヘヘ弛む訳にはエヘヘへ行かない。 「くそ…今の青峰っちだったらもっとこう…グワッと来て取られるよな…あーこんなんじゃ駄目だもう一本!!」 「…なぁ笠松」 「あ?」 「黄瀬が変だ」 「いつもだろ」 「いつもより変だ」 「…じゃあそれは一周回って正常だ」 「いや、なんかアイツ余命宣告受けたみたいなんだけど…」 「は?」 「俺にはもう時間が無いんス…俺に近づくと火傷するッスよ?…ってくそ真面目に言ってたぞ?」 「…変だな。」 「だろ。」 「…なまえなんか知ってっかな、あとで聞いとくわ。」 「…おいちょっと待て。」 「…なんだよ俺も練習」 「なんでなまえちゃんが出てくるんだ?」 「…昨日まで黄瀬の世話なまえがやって」 「なんで?接点あったっけ?」 「あー…、まぁ。」 「……………まさか…!!…いやいや、うん、大丈夫。お前に聞いても何の情報も得られないことはわかってる。よしわかった俺もなまえちゃんの所行こう。いやむしろなまえちゃんを呼ぼう。」 「…は?」 「はーやばい。いや…でもなまえちゃんだし…あーでもなまえちゃんだからなー…」 「……………」 −−− 「…あーーー!!みょうじ先輩!!!!」 『…あ、えっと…確か早川くん…』 「どうしたんですか!!迷子ですか!!!!だった(ら)俺がどこまででも案内す(る)っ」 『アンタより海常歴長いわナメんなよ』 「すんません!!!!…あ(れ)でもじゃあなんで昼休みに部室棟にい(る)んですか!!やっぱ(り)迷子で」 『ちげーっつってんだろ!!…笠松からメールが来たの。昼休みに部室来てくれって。』 「あそうだったんですか!!!!な(ら)俺案内す(る)っ」 「早川うるせェェェェ!!」 バコッ 『あ、笠松。相変わらず殴るねぇ?』 「ったく何が案内だよすぐ目の前だろうが!!」 「すんません!!でもオ(レ)っ」 「やぁやぁなまえちゃんよく来たねいらっしゃーい!汚いとこだけど入って入って!」 『わぁ本当に汚いね森山くん!掃除しろよ』 「ハハハ男ばっかだからな…」 『あれ小堀くんもいた!』 「……………」 「出来れば可愛い女子マネージャーが欲しいんだけどな。いないんだよ。黄瀬のせいで…!! そう黄瀬!! 黄瀬黄瀬くそ黄瀬!!」 「おいお前今どさくさに紛れてくそっつったろ」 「なまえちゃん、今日君を呼んだのは他でもない!くそ、じゃなかった黄瀬のことについて聞きたいことがあるからだ!」 『はぁ、』 「なまえちゃんもしかして黄瀬と付き合っ」 「ちげーだろ!!」 バコッ 『……………』 「え!!!! みょうじ先輩もしかして黄瀬と付き合っ」 「ちげーっつってんだろ!!」 バコッ 『……………』 「…黄瀬の様子が朝から異様におかしい。お前なんか知らねぇ?」 『……………いや、…知らない。』 「そうか。悪かったな、こんな所まで呼び出し」 「よし笠松のターンは終わった次は俺のターンだ!なまえちゃん、まさかとは思うけど黄瀬と付き合ってる?まさかとは思うけど!」 『……………』 「……………」 「……………」 「……………」 「……………」 『…………うん…』 「………何ということだ…!! ぐっ…」 「黄瀬に!!!! 先を越さ(れ)た!!!!!! うおぉぉぉお」 「お…落ち着けよ早川…お前もすぐに可愛い彼女が」 「いや無理だろ」 「なまえちゃんもう黄瀬とえっちした?」 『…なっ…!!』 『「んな訳あるかボケェェェェ!!!!」』 「なんで笠松も答えんだよ。…それより、そうか!まだか!この調子だと黄瀬はもしかしたらまだ白かもしれない!ねぇなまえちゃん、ちゅーは?してないよね?」 『えっ?』 「え?」 『……………』 「……………」 『…………いやー…、そのー…、えーっとー…』 「…なまえちゃん?顔赤いよ?…ちがう…よね?」 『…えーっとー…、えへへへ?』 「…されちゃった?」 『………………うん…』 「……おいみんな…ヤツは黒だ。…ねぇなまえちゃん…ちなみに…どんなちゅーされたの?」 『え゛っ………』 「オ(レ)もうこ(れ)以上聞きたくないです!!!! 森山先輩もうやめて下さい!!!!」 「そうだ森山!! 笠松のライフポイントはもうゼロだ!! このまま攻撃し続けると死んじまうぞ…!!」 「駄目だ!! 逃げてばかりじゃ…俺たちは前に進めない…!!」 ガチャッ 「あれ? 皆揃って何してるん…ス…か…」 昼休み、昼食も食べ終わって、販売機までコーヒー買いに行こうとしたら財布を部室に忘れてきたことに気づいた。ので、部室まで取りに来たのだが。扉を開けて目に飛び込んできた光景はと言うと。 耳を押さえて訳わかんないことを言いながらうずくまってる早川先輩。顔を真っ赤にして瀕死状態で倒れてる笠松先輩と、顔を真っ青にして笠松先輩をなんとか呼び戻そうと奮闘してる小堀先輩。見たことの無い険しい表情で立っている森山先輩。そしてその視線の先には…なまえ先輩。 え、何これ地獄絵図? 『あ…黄瀬…』 しかしなまえ先輩の一言で全員の視線が俺に向けられる。 『…っ、私帰るっ!さよならっ!』 なまえ先輩は俺を視界に入れた瞬間に最初から赤かった顔をもっと赤くさせて逃げた。 「えっ、ちょっ、なまえ先輩…!?」 「…よぉ黄瀬ぇ…じゃなかった、くそぉ…」 「…へ?」 なまえ先輩が逃げた方向から振り返ると、全員が生き返っていた。ただならぬ雰囲気をひしひしと感じる。 「てめぇよくもなまえちゃんの麗しい唇を…」 「……………先輩たち落ち着いて!! ほら、今度また合コンやりましょ!! そこで先輩たちも可愛い彼女の一人や二人…」 「「「「死ね」」」」 * * * 2012.11.12 |