「もしもし」
「ちゅぎぃー」
「もしっ」
「もしぃー」
「ちゅぎっ」

今日は午後から仕事だったのでギアステーションに来たらヒトモシとバチュルで溢れ返っていた
白と黄色に覆いつくされた空間は見ててちょっと気持ち悪い
踏まないように必死に避けてたら1匹のバチュルが脹脛に引っ付いた

「きゃっ」
「チュギィ!」
「ああ、あなたいつものバチュル…」
「うわあああああんバチュルどこおおおおおおおお!!!」
「…探されてるけど」
「チュギィー」

遠く向こうでクダリさんが泣き叫んでる
私が届けると至極面倒だから嫌なのだけど
バチュルの青い瞳はきらきら輝くだけで自分から行こうという意思は見当たらない
諦めて歩みだした私のお尻が突然温かくなった

「きゃぁっ」
「モシィ!」
「…ノボリさんの」
「ヒトモシどこでございますかああああああ!!!」
「あなたもなの」
「もしぃー!」

クダリさんとは反対側でノボリさんが叫んでる
ああもう、あの双子は
どうしてこんなことになっているのか想像したくないけど簡単に脳裏に浮かぶ
大方ギアステーションをぐるぐると回って孵化厳選していたに違いない

「バチュル届けたらね」
「ちゅぎぃ」
「もしぃーっ!」
「ちょ、っもう、ほらじゃあ一緒に行こう」

バチュルだけ連れていこうとしたら何かわざを出されそうだった
慌てて2匹を抱えてとりあえずクダリさんの所に行く
渡したら案の定苦しいぐらいに抱き締められた

「ありがと――!!よかった、バチュルごめんねぇ!」
「チュギィ!!」
「あああああわたくしのヒトモシはいずこにいいいいいいい」
「此処にいますよ」

反対側に行く手間が省けた
ノボリさんが勝手に来てくれたので渡す
皮が剥けるってぐらいに頬擦りされた

「いい加減ギアステ内で孵化しないでください」
「えーでも地上行くの面倒」
「仕事の合間にできますし…」
「他のお客様に迷惑です。2人だけならまだしも他の職員やトレーナーがしたら、」


ぱりんっ


「…キロ今音が」
「点検場に戻ります」
「ぽぉぅっ」
「ラルトスの声がするのですが」
「2人も執務室にもど、んっ」

ラルトスのたまごが欲しいってクラウドさんに言われたから持ってきたのに
まだ孵化するまでに時間があったはずじゃ
もぞもぞ作業服の中をラルトスが動き回る

「あっ、だ、だめ、―――ん、ふ…っ」
「もしぃー?」

あ、ヒトモシの特性忘れてた
この子ほのおのからだ持ちだったんだ
さっきので一気に歩数稼いじゃって、ていうかラルトスくすぐったい
脇腹本当に弱いのにずっとそこでうろつくから

「も、出てきって」
「ぽぉぅ」
「はっぁ……とりあえず戻りま、す」

クラウドさんには謝ってまた持ってこよう
作業服からラルトスを引っ張り出して抱える私に落ちる黒い2つの影

「最早ブラボーと叫ぶのも惜しいほどの破壊力…!」
「興奮した。もっかい戻ってラルトス」
「ぽぉぅ?」
「ひっ、やっん、ひとっもし、おにびぃっ、ばちゅっるいと、をっはく!」
「モシッ!」
「チュギィ!」
「えええ言うこと聞いちゃうの!?」
「熱いっ、ああ、ちょっヒトモシおやめくださっ」

今後一切ギアステーション内では孵化厳選しないでください
そう約束させてから2人はちゃんと解放しました







ちなみに。

「この子達IDがバラバラ…」
「皆デ孵化手伝ッテルカラ」
「いやったああああああ5Vキタ!ひゃっはぁー!」
「ジャッジさん性格変わってますが」
「皆コレノオカゲデ寝テイナイカラ」
「だからシンゲンさん壁に向かって話してるんですね。納得しました」


鉄道員の徹夜厳選禁止令も一緒に本部に提出しておきました










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