初めは本当に、ただあの双子が気にかけるから気になってた、だけ


――あなたのスキは


ボクを叩く女なんて山ほどいたさ
罵って喚いて、ああウルサイなぁとよく思ってた
だけどキミの言葉はそれよりも痛くて突き刺さる
本当に拒絶しているんだと瞳が訴えかけるんだ

「期待ハズレチャン、明日には旅立つんだっけ?」
「はい。申し訳ないのですがフルに2週間使うと思います」
「フーン」

点検場に遊びに行けばトレインの方を見ながらボクの質問に答える
オカシイね。コッチを少しくらい見てくれたってイイんじゃない?
分かりやすく愛情表現してるのに、ときめく素振りなんて見せやしない

「コレ、ダブルトレインだよネ」
「ノーマルのですが」
「さっき他の人がしてなかった?」

ずっと動いていた手が止まった
此処に来て38分。ようやくボクの方を見る
顔なんて埃で汚れていてとてもじゃないけどキレイって言えない
なのにその蒼い瞳が、ボク達とは違う深い蒼に見つめられて心臓が高鳴る

「…此方ではスーパーよりノーマルの方がよく動くんです」

整備が終わったのか安全帽を外した
薄紫の髪がふわって広がって、甘いニオイが鼻腔を擽る
キミは確かに汗をかいているはずなのに

「エメットさんが乗るトレインに万が一のことがあったら、困りますから」

帽子を脇に抱えてそう言った
小さく、というよりは微かに笑ったのはボクの気のせいじゃないよね
気付けばインゴみたいに腕を強引に掴んでいて大きく揺れた瞳を見ながら噛み付くようなキスを、した

「…Thanks,のシルシ。お土産待ってる」
「はあ…期待外れな物買ってきても文句は言わないでくださいね」

するりと腕が抜けていく
キミを母親みたいだと告げたこと、本気にしているのかな
愛しいを沢山乗せたキスにすら動揺しないキミが

「本気って、結構、面倒クサイ…」

頑張るのはあの2人のためじゃなく、キミのためだって
そう言ったらなんて顔をしてくれるんだろう








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