▼ぼんやり展開
2012/12/22 03:17




「こんにちは」

黄緑色の髪が揺れて誰かが笑った
私はあなたを知らない
だけど咄嗟に返した挨拶に、あなたはどこか嬉しそうな表情を浮かべた

「――を探しているんだ」

上手く聞き取れない言葉を聞き返そうとは思わなかった
首を静かに横に振れば、短い返事と共に背が向けられた

「こっちには居ないんだね」

何のことだろう
普段と変わりない瞬きをした時、姿は消えていた










「――さん、あ、おはようございます」
「………トウヤ、くん」
「いくら真夏でも外でうたた寝は危ないですよ」

帽子の鍔の奥でトウヤくんが笑った
黄緑色はどこにも見えない

「どうしたんですか?あっ、今日本当は用事あったとか」
「いいえ、何もないよ」

それなら良かったと笑う彼の遠く後ろに観覧車が見えた
私は今日、トウヤくんと観覧車に乗る
遊園地を見たことがない私を案内してくれる

「―――遠いのね」
「そらをとぶならひとっ飛びですよ」
「そうじゃなくて、」

もっと、なにか、大切な





かたたん、かたたん



「でも自転車持ってませんよね?」
「あ、うん…」



本日は ご乗車 ぼくは 始める 2匹の 指差し すごく 目的地 勝負は ぴたり 全力で



――発車なんか、させないよ

×ゅ×××し××う





私が進む―――は、本当に、これなのかな




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