今日は1日中大雨になるでしょう。お出かけの際は傘を忘れずに。四角い箱の画面の中でお姉さんがビニール傘を手に笑った。彼女の言うとおり、今日は朝から雨が降り続いていて、雨のノイズが聴覚を支配していた。この世界は今日重く暗い灰色なのだ。ああ、そういえば。朝食の材料を買いに行った彼女は、はたしてきちんと傘をさせているのだろうか。両手が塞がってなければいいのだけれど。と、思案していたその時、ガチャリと扉が開かれる音がした。
「C.C.おかえ…あちゃあ予想通り」
「予想とはなんだ」
「C.C.がちゃんと傘させてないだろうなと思って。ごめんね私も行けば良かったのに」
「気にするな。途中までは小雨だったんだが…あんなに降られるとは思わなくてな」
両手に食材の詰まったビニール袋を下げたC.C.の身体は冷たい雨に晒されて、びしょびしょだった。身体だけではない。ライムグリーンの長い髪の毛さえも肌に張り付くくらい水分が浸透してしまっていた。
「お風呂に入ろう。風邪引いちゃうよ」
「ああ」
「新しい入浴剤があるよ。蜂蜜の。肌にとっても良さそうなやつ」
「何だか湯もどろどろしそうだな」
「えー、そうかなあ」
C.C.は早速バスタオルを手に持って、脱衣場へと向かう。しかし彼女の手には何故かタオルが2つあり、その片方を私にずいと差し出した。
「え?私も入るの?」
「無論だ。本当に湯がどろどろするのか一緒に確かめよう」
「変わった誘い文句だね」
「何とでも言え」
「ふふ、じゃあ一緒に確かめようか」
「そうこなくては」
あ、お風呂上がりにホットミルクを飲もう。蜂蜜をいれたうんと甘いやつ。そう言うと彼女は風呂で熱くなった上に熱い液体を体に流し込むのか。と困ったように笑った。