落下宣告


雷門中ファーストチーム対剣城率いる「黒の騎士団」の「雷門サッカー部」を掛けた試合が始まる。両者は各々のポジションに着き、試合開始の笛を待つ。ほんの少しの衝撃で弾けてしまうような危うい空気が張り詰めていた。
何処から噂を聞いたのだろう、登校してきた生徒たちが観客席にわらわらと集まり出している。柔らかな笑顔でシャッターを切る友人の影をちらりと発見してるちは嘆息した。

「松風くん、こっちよ」
「あっ、はい!」

初めて見る雷門のスタジアムに見とれていた天馬はるちに連れられ雷門側のベンチへと移動する。其処には既に音無と久遠が座っていた。天馬たちも着席する。それを待っていたように試合開始ホイッスルが響いた。



ボールは雷門、神童と南沢が互いにパスを出し合いながら騎士団ゴール前まで攻め上がる。神童から南沢に繋がれたボールを南沢がゴールに向かってシュートを放った。鋭い蹴りがゴールへと伸びる。これは入る。久遠、音無、天馬と共にベンチで見守るるちは確信した。しかし。

『止めたー!キーパーがしっかりとキャッチ!』

実況の声がスタジアムに響く。そこからボールが流れるように、騎士団のパスが綺麗に繋がり、シュートが吸い込まれるように雷門ゴールに収まった。雷門はDFもGKも全て難なくかわした騎士団に先制を許してしまった。

「うそ…」

こんなことありえるのだろうか。雷門の強さは全国の強豪と渡り合えるくらいのレベル。伊達にサッカーの名門校とは呼ばれていない。なのに、黒の騎士団はそんな雷門を弄ぶかのようにプレーをする。

またボールは雷門、南沢から神童にパス繋がる。しかしそれは影に拐われた。――剣城だ。彼は一人で雷門の陣地へ攻め昇る。DFの天城も浜野たちも剣城を止められず、華麗な身のこなしで剣城はボールを蹴り上げる。

「デスソード!」

剣城から繰り出されたボールは暗黒色を帯び、名前の通り鋭い剣のように真っ直ぐ伸びてゆく。

「点はやらせない!バーニングキャッチ!」

三国の手から炎が溢れる。しかし剣城のシュートは強力すぎた。そのままボールは三国ごとゴールに突っ込んでいってしまった。――騎士団、二点目。


prev next




第4回BLove小説・漫画コンテスト応募作品募集中!
テーマ「推しとの恋」
- ナノ -