短編 | ナノ ガコン、落ちる音がする。
出てきたミルクティーを取っては息を吐いた。
まだ冷たいそれを頬にくっつけると自分の顔が熱いことがわかってしまう。
目を閉じて顔の熱が引いていくのを待っていると、後ろから肩を叩かれた。
「……?」
振り向くと学ランを着た男の子がこちら睨んでいる。
この並盛中学で学ランを着ているのは風紀委員しかいないので、この子が風紀委員だということがすぐにわかった。
男の子は私のミルクティーを指差したかと思うと、無理矢理奪う。
意味がわからない。
「あの……」
「今は授業中のはずだけど」
鋭い視線にどう返せばいいかわからず、私は男の子から離れようとした。
ガタンと自販機が揺れる。
私の前には細く長い手。
急のことで頭が混乱する。私がゆっくりと後ろを向くと男の子は眉間に皺を寄せていた。
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