短編 | ナノ あの委員長がこんなになるなんて思っていなかった。

「ねぇ、まだ?」

雲雀さんにお弁当を渡す。
彼は当然のようにそれを受け取ると、すぐに風呂敷を広げ蓋を開けた。
彼のために、彼の好きなものを入れたお弁当。

「君も食べなよ」

雲雀さんと同じ中身のお弁当を食べ始めると、何故か雲雀さんはご機嫌斜めになってしまった。
そういえば、あの日も彼は不機嫌だったな。なんて思い返す。

雲雀さんと会ったのはお昼時間の屋上だった。
屋上には沢田くん達がいつもいるので、私は沢田くん達から見えない所で一人お弁当を食べてたんだ。そこに雲雀さんがいて、私のお弁当を取った。
それから雲雀さんは頻繁に私からお弁当を取っていくので彼の分も作るようになってしまった。
天下の風紀委員長様の気まぐれだろう。

「みょうじ」

でも、お弁当を一緒に食べるようになってから気付いたが、彼は感情豊かだ。少し中二病なのかもしれないが、とても優しい。

「なまえ」
「……え、」


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