短編 | ナノ
もしも、風紀を乱したりしたら、風紀委員の雲雀恭弥に殺される。
みんなはよく、そう言っては雲雀さんを怖がっている。けど、私は怖くない。

「……きた」

教室に身を潜ませながら廊下を見ると、彼、雲雀さんが角から出てきた。
彼がゆっくりとこっちに向かってくる。

よし、今だ!

私は持っていたバナナを雲雀さんの足元に投げつけた。
まぁ、彼が転ぶとは思って……いなかった。

「…誰」

音は意外にも小さかった。
けど、転んだ!?
転んじゃったよこの人。並盛で最恐じゃないの?笑いが出そうになる、ダメだ、笑っちゃダメだ。

雲雀さんは何事もないように立ち上がると、辺りを見回す。
やばい、すごくお怒りだ。でも、さっきのを見てしまった私からすると可愛いように見えた。
それから、雲雀さんはトンファーを持ったまま、どこかへ走って行ってしまった。
雲雀さんのいなくなったことを確認してから、大声で笑う。

「…みょうじ、お前は」

後ろから頭を掴まれたかと思えば、先生の声。ゆっくり後ろを振り返れば、背中に鬼の宿った先生と授業をしているからか静かなクラスメイトがいた。
あ、やばい。授業時間だった。

「罰として放課後に教室の掃除だ!!」

先生の大きな声は、きっと校内中に響いた。


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