短編 | ナノ
最近、僕に懐いているなまえの姿が見えない。
いつもいるはずの木陰、草木の間、校内、どこを探しても見付からない。気持ちが焦り始めた。

なまえはまだ小さい……それに弱々しくて僕がいないといけない、なんて考えてしまった。
本当はそんなはずないのを知っている。彼女は気まぐれで自由な肉食動物なんだ。

そう思うのに、どうしてこんなに焦ってしまうんだろうか。
階段を上る足がだんだんと速くなっていく。
屋上の扉が少し空いていて、もしかしてと扉に手をかける。

キィィと重く錆びた音。
僕の目には誰もいない屋上だけが映る。大きなため息が出たその時。

「にゃあ……?」

声のした方を見ると足元に見慣れた黒い仔がいた。
驚かさないようにソっと屈めば、僕の手に擦り寄ってくる。その姿を見てさっきでの焦りはなくなった。

やっと見つけた。









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