短編 | ナノ
「ねぇ、ヒバリ」

私の問いかけに答えない目の前の男に少しイライラした。
今度は大きめの声を出す。

「ヒ!バ!リ!」

面倒くさそうに男はこちらに目をやる。
一言も発しないでも男、ヒバリの機嫌が良くないことがわかった。なにその雰囲気。

私のイライラもヒバリに伝わってるのか応接室の空気が少しだけピリッとした。

「……なに」
「だから、今度遊ぼうって言ってんの!」

座っていたソファーから立ち上がって怒鳴るように、さっきから何度も訴えていることを言う。
ヒバリは眉を寄せてから目を伏せて、これまた何度も聞いたことを言った。

「忙しいって言ってるでしょ」

なまえの耳は飾りなの?なんて言葉も付け加えて。
もう本当に本当に腹が立った私はヒバリを無視して応接室を出る。







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