短編 | ナノ
震えた手を必死に抑える。
私の手のひらにある袋がカサッと小さく音を鳴らした。

校則違反なんて今までしたことない、それでもどうしても今日じゃないと今じゃないと意味がなくて。
私は大きく息をはいた。

「よしっ!」

持ってきてしまったものは仕方ない。今さら引けない。
持っていた袋を緩く握って、とある人を探す。

渡せたとしてもきっと怒られるんだろうなーなんて少しだけ怖くなってしまった。
咬み殺されちゃうのかな……いや、それでもこのまま伝えられないよりかは!
そんな自問自答を繰り返しながら校内を歩くと、胸がドクンと脈打った。

私の前方にいた、雲雀恭弥さん。
いつもの学ランではなく制服を着てらして、なんだか見慣れない、それだけでドクドクと顔に熱が集まってしまう。






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