短編 | ナノ
いったいどれくらいの時間が経ったのだろうか。
彼の瞳に映る自分の姿はなんとも間抜けでため息が出そうになる。でも、力強く私の左手首と顎を固定している手によって私の口は固く閉ざされてしまっていた。

「いつまで意地を張っているつもり?」

雲雀さんから吐き出された低い声は怒気を孕んでいて、身震いした。
私は意地を張っているつもりはない。ただ彼の言っていることの意味がわからない。雲雀さんが怒ってる理由がわからない。

突然、壁に縫い付けられては叱られている。私は何をしてしまったのだろうか。彼の機嫌を損ねてしまうようなことを気付かずにしてしまったのか。

「ごめ、な……さ」
「なまえ、君は」
「私は」

貴方に何をしてしまったんだろう。






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