短編 | ナノ
「逃がすと思う?」

まるで獲物を狙っているかのように目を細めるが、声には怒りが含まれている。
これはヤバイかもしれない。でも逃げ場はないし、助けてくれる人も授業中だ。

どうすればいいのか。

「……すみません、でした」

考えていると頭が痛くなってきて、とりあえず謝った。
彼の目はまだ私を逃さないみたいで、私はどうしたらいいのか悩む。

ふと視界が歪んだ。
頭が段々重くなってきて、足が地についている感覚も少しおかしくなってきて、もうダメかもしれない。

私は目を閉じた。



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