短編 | ナノ
チャイムが鳴ると同時に煩くなる教室。
いつもは気にしないけど、今日は違う。この音に混じって僕の机にお弁当を持ってくるみょうじさん。
幸せなのに、何を話せばいいのかわからずに僕は黙々とアーデルハイトが作ってくれたお弁当を広げる。

「ごめんね」

そう言う彼女の顔は笑顔なのにどこか悲しげで、どうして?なんて疑問を口にした。

「いつもみんなと食べてるのに、今日は私とで……って誘ったの私なんだけど」

困り顔で頭をかくみょうじさんに失礼ながら可愛いと思った。
言ったほうがいいかな、いや、急に言うのも、なんて考えを巡らせる。

「あの、僕、もみょうじさんと話したかっ」

顔を上げると、みょうじさんは驚いたように目を見開いた。そして、僕の心を奪った笑顔でお礼を言った。

「……これからもよろしくね」

出された手を握ると僕と同じくらい熱かった。



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