短編 | ナノ 「みょうじさん!」
目の前には綱吉達の顔。ああ、未来から帰ってきたのか、なんてほんの少しだけ残念に思った自分がいる。
いまだに煩い心臓にため息が出た。
そんな私を気遣うように綱吉が抱きついてくる。
「良かったー」
「心配かけてごめんね」
「いや、みょうじさんは悪くないです」
そんな彼の頭を撫でてあげると、恥ずかしそうに私からすぐに離れた。本当に綱吉は弟のようだ。
私と綱吉の間に獄寺が割り込む。
「おいクソ女!十代目が優しいからって調子乗んなよ!!」
調子に乗ってませーん。ふざけて言うと睨まれた。
私のほうが年上だというのに失礼な獄寺に一発お見舞いしてやった。
その様子を見ていた山本が楽しそうに、いつもの爽やかな笑顔で私の頭を撫でる。
どうしてだろうか。
頭を撫でる山本の手と未来のあの人の手を比べてしまう。そう考えれば考えるほどあの男の人の笑った顔を思い出してしまった。
そっと手を胸に持っていくと音が速いのがわかる。
私はきっと彼を好きになってしまったんだ。
いや、未来の恋人だとしたら彼を好きになるのは運命なのかもしれない。
私は早く未来であの人に会いたいと思った。
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