短編 | ナノ 彼女に初めて会ったのは僕が小学生の時だった。
最初は、鬱陶しいくらい僕に構ってくるなまえに嫌悪感を抱いていた。それでも、しばらくすると嫌悪感は憧れに、憧れはいつしか愛情に変わっていた。

「なまえ」
「恭弥くん、どうしたの?」
「ずっと一緒にいて、僕と結婚して」

小学生の言葉なんかを信じるとは思ってなかった。ましてや、当時彼女は高校生だったんだから。
だけど、なまえの返答は僕の思っていたものとは違った。

「いいよ、恭弥くんが大きくなったら結婚しようか」

その言葉がどれほど嬉しかったか、今でも覚えてる。
なまえが急にいなくなるまでは、毎日が幸せだったのに。大学に行くからと僕の前から消えてしまったなまえに、裏切られた悔しさと悲しみをずっと持っていた。

でも、会えた。
会った瞬間にわかったよ。僕のなまえだって、運命なんか信じないけど僕達は愛し合うんだということを感じた。
もう絶対に逃がさない。


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テーマ「人外ファンタジー」
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