短編 | ナノ 「遅かったね」

応接室の扉を開けた瞬間に声をかけられる。
何故か雲雀はソファに座っていて、私がすぐに帰ってくることを予測していたのか机にティーカップを置いた。

「はい、どうぞ」
「早く座りなよ、なまえ」

よく見るとティーカップは2つ並んでいて、それに嬉しくなる。
雲雀に袋を渡すと、彼は袋からケーキの入った箱を出した。そして、中に入ってあるであろうケーキを取り出す。

「……これって」

綺麗にデコレーションされた2つのチョコレートケーキが出てきた。
1つは黒でコーティングされた普通のチョコレート。もう1つは白で包まれたチョコレートケーキ。
両方美味しそうで私がどっちにしようかと悩んでいると、雲雀に黒いほうを取られてしまった。

「こっちは僕の」

白いチョコレートケーキを渡されて、食べようとフォークを持つ。綺麗なケーキにフォークを指して一口一口ゆっくりと食べる。

「美味しい」
「当たり前でしょ、これはなまえの為に作らせたんだから」


prev next

×
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -