短編 | ナノ
4限目も終わり、クラスが騒がしくなる。
各々が固まったり、購買へと走る者もいる。そんな中、私はお弁当を持っていつもの空き教室に向かった。

この学校は空き教室がかなりの数ある。
そして、どうしてか鍵も開いている。生徒達からしたら嬉しいことなんだろうけど、これでいいのかと思う時がある。

「……いただきます」

まぁ、空き教室を利用しているので今更閉めて欲しくはない。
窓の外に目を向けると雨はまだ降っていて、これは濡れて帰るしかないのか。なんて頭が痛い。

「あ、ここにいたんだ」

ガラッと建て付けが悪いのか少し擦れる音を立てて扉が開いた。
そこにいたのは沢田くんで、疑問が浮かぶ。

「みょうじが良ければなんだけど、一緒にご飯食べない?」

困ったように眉を下げる彼に私は頷く。
今の表情が嘘なんじゃないかと思うほどに沢田くんは笑顔になった。そして、私の隣に座るとお弁当を広げる。

「いつもの人達は?」

沢田くんは最近、山本くんと獄寺くんと一緒にいることが多い。
だから、彼達も一緒かと思った。

「みょうじと二人で話したいことがあって……」

頬を赤らめる沢田くんになんだろう、と少しだけ首を傾げる。


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