短編 | ナノ 「…まぁ」
なんとなく恥ずかしくて袋を背中で隠した。
それを不思議そうな顔で見てくる山本。
「誰に?」
「……え」
私に近付いてくる山本に後ずさる。
後ろを見ていないせいで誰かにぶつかってしまった。
「あ、雲雀」
山本の言葉に体が反応してしまった。
心臓が速く脈打っていくのが自分でもわかる。
私の背中にある手を握られたかと思うと、袋を取り上げられた。
「……これは没収する」
「ま、」
慌てて後ろを振り返ると、本当に雲雀さんがいて驚く。
私の袋を持っている雲雀さんに頭が痛くなってくる。どうしよう。
「なぁ、雲雀」
あわあわとする私の腕を強く引くと山本は雲雀さんに手を出した。
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