短編 | ナノ 「風紀委員は群れるの禁止だから
群れたら女だろうと咬み殺す」
書類に目を向けたまま雲雀さんは言った。
きっと本当に咬み殺されるんだろうな。なんて呑気に考えてしまった。
「聞いてる?」
返事をしない私に痺れを切らしたのかトンファーを構える。
「あ、え、聞いてます!」
トンファーを構える姿もカッコいいなんて、本当に私は雲雀さんが好きなんだと思った。
「そう、なら早く帰って」
なんだろう。そう思うと恐怖なんかない。
緊張もなんだか少し和らいだ気がする。
今なら言えるかもしれない。
「雲雀さん!」
「なに、早くドア閉めなよ」
イライラを隠さない雲雀さん。
そんな彼に私は笑った。
「ねぇ」
「雲雀さん、好きです」
眉をひそめた雲雀さんに礼をして応接室のドアを閉める。
走って走って、下駄箱の前でしゃがんだ。
あーあ、言ってしまった。後悔はしていない。
赤い顔を手で覆って思いっきり笑った。
「まさか、ここまで好きだったなんて……」
自分でも知らなかった。こんな積極的になれるなんて。
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