短編 | ナノ 「おー、来たな。これを風紀委員長に渡しといてくれ」
放課後になり、職員室に行くと書類を渡された。
「わかりました」
それを受け取り担任に挨拶をし職員室を出る。
まさか、こんなに早くに来るとは思っていなかったから少しだけ緊張する。
初日から雲雀さんと話せる機会が出来るなんて、私はニヤける顔を書類で隠しながら応接室へと急いだ。
応接室の前で深呼吸をしてから控えめにノックをする。
「誰?」
心臓が速くなる。
「ふ、風紀委員のみょうじです」
「何か用」
ドアが開いたかと思ったら目の前に雲雀さんがいた。
「書類を」
そう言うと私の手から半ば強引に書類を取る。
ど、どうしよう。初めて間近に見た雲雀さんはカッコよくて、自分でもわかるほど顔が熱くなった。
「もう帰っていいよ」
「……は、い」
結局話す勇気なんかなくて、返事をするのがやっとだ。
「みょうじ」
一礼をしてドアを閉めようとしたら雲雀さんに呼ばれた。
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