短編 | ナノ
校庭に大きな音が響いた。
私が綺麗にジャーマンスープレックスを決めた音だ。

「十代目!」
「ツナさん!」
「ツナ!」

さっきと同じ声が聞こえる。
私はツナさんの腰から手を離して服についた砂を払った。
ツナさんのほうを見ると気を失っているようでピクリとも動かない。やりすぎちゃったか。

「なまえちゃん!」
「…ハルちゃん」
「どうしてこんなことしたんですか!」

目に涙を浮かべながらハルちゃんは私に近付く。
反射的に後ずさってしまう私の後ろには誰かいたようでぶつかってしまった。

「どういうことか説明してくれるか」

爽やかに言う彼は私の肩を強く掴む。
前からはハルちゃん、後ろには男の子、逃げれない。
どうしようかと考えていると、何かを燃やす音がした。

「よくも十代目を」

そっちのほうを見るとダイナマイト両手にタバコを吸う男の子がいる。
これは、本当にヤバい。

私は後ろにいる男の子の手を掴んで背負い投げをした。
その男の子は上手い具合に受け身を取ると驚いたように笑った。その瞬間にダイナマイトの子の方に走る。

「果て」

ダイナマイトを投げるよりも早くに私のラリアットが見事当たった。


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