短編 | ナノ あまりにも普通に話すものだから、つい頷いてしまいそうになった。
まさか、気付いてたの?

「図星ですか?」
「…だったらなに」

やられっぱなしは嫌だからせめての抵抗。
それでもみょうじは驚いた様子もなく口元を押さえて笑っている。

「私、ヒバリさんと話してみたいと思ってたんです」

彼女は本から手を離すと僕に近付く。
そして、僕の前で立ち止まり、僕の耳に口を持ってきた。少しくすぐったい。

「ヒバリさん、間違えていたらごめんなさい」

そう言ってから、みょうじが息をはいた。それが耳に伝わりゾクゾクとする。
彼女の次の言葉はきっと間違えていないだろう、余裕なのか余裕がないのか僕の頭は少しだけ混乱しているかもしれない。

「私のこと好きですか?」

その言い方はずるい。
僕はみょうじを抱きしめて頷くことしか出来なかった。


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