短編 | ナノ 放課後。
彼女がいるであろう図書室へと向かう僕。
ああ、なんだか緊張をしてきた、なんて僕らしくないんだろう。
「……」
ドアを少しだけ開けて中を見てみると中にはみょうじしかいないようで、僕にとってはこれ以上ないチャンス。
一つ咳払いをしてからドアを開けた。
中にいたみょうじは少し驚いたような顔をしてから笑った。なんだか顔が熱い。
「…やあ」
どうしてもっとカッコよく声をかけられないの。自分自身にちょっとイラつく。
それでも彼女は笑って僕を手招きした。
気になってみょうじの側まで行ってみると、人差し指を口に持っていくと彼女は静かにと口だけを動かした。その仕草がやけに色っぽくて、さっきよりも顔が熱くなる。
「…ねぇ」
「なんですか?」
「…なんでも、ない」
普通に話す僕と声を小さくするみょうじ。
立っている僕を見上げる形の彼女は自然と上目遣いで、鼓動が速くなる。情けないな。
「ヒバリさん」
「なに」
「私のこと気になりますか?」
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