短編 | ナノ
「いっ、んぅ」

勢いが良かったせいかお互いの歯をぶつけてしまった。
痛みに口が開いたのを雲雀は見逃さず、即座に舌が侵入してくる。

痛いのと不快感とで目をぎゅっと強くつむっていると、雲雀の空いてるもう一つの手が腰に回された。
優しさを感じないただ力強く抱き寄せられる。

その間も私の舌を執拗に追い回す雲雀。
絡めたかと思えば撫でたりと少しづつ頭がぼーっとしてくる。
不快感なんて忘れてしまいくらいなんだか気持ちよくて、体の密着にももう抵抗出来なくなってしまった。

「ひば、まっ」

息も絶え絶えに、私の身体から力も抜けていってしまう。
もう、だめ……と思った時、やっと唇が離れた。
肺が必死に酸素を取り込もうとする。

「いい顔」

肩で息をする私を見て笑う雲雀。

「今から僕のところに来なよ、なまえのこともっと愛してあげる」

そう言った自分勝手な彼が、私は苦手だ。








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