短編 | ナノ
「別に、ただの見回りだけど」

見回り……。
こんなタイミングよく会うのだろうか。雲雀の考えていることは私にはわからない。

「そっ、か」
「なまえはどうしてここに来たの?」

ドキリとした。
素直に応えるなんて出来なくて色々と言い訳を考える。

「あー、忘れ物とか」
「わざわざ上履きで走るほどに?」
「う……ん、気分転換的な」

いまだに視線を合わそうとしない雲雀になんとか適当に言う。
わざとらしいため息を吐くと両手が私の頬にのびてきた。目が合う。

「寒いとか言ってたくせに、馬鹿?」

彼の手は熱を帯びてるようだった。
私よりも温かい手を掴む。

「冷たいんだけど」
「雲雀は温かいね」
「なまえのせいだよ」






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