短編 | ナノ あれから定期的にあの人、ヒバリは会いに来てくれるようになった。
いつも美味しい食べ物と、不思議な友達を連れて。
今日は何をして遊ぶ?なんて少し子供っぽいかもしれないけれど、ヒバードに問いかける。
遊びたいわけじゃない、ただ、少しでもヒバリといたいだけだったり。
「なまえ、その前にこれ食べなよ」
ヒバードを追いかけようとした私をヒバリの言葉が止めた。
食べ物……?
「なになに、今日はなんだろう」
ヒバリの側にいき、食べ物が出されるのを待つ。
大人しく座ってる私がおかしいのかクスクスと笑っていて、中々出してくれない。
思わず声を出してしまう。
「食べ物、くれないの?」
少し悲しくて、思ったよりも掠れた声でうつむく。
「さぁ、食べていいよ」
目の前に置かれたケーキに顔をあげてヒバリを見た。
私の頭へと伸ばされる手と、嬉しそうな顔でなんだか恥ずかしくなった。
不思議な感じだ。ヒバリのこと好きなのに、それだけじゃなくてなんだか別の感情が溢れてくる。
この感情はいったい何だろう?
私が知るのは、だいぶ先の話。
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