短編 | ナノ わかってる……忙しいのはわかってるけど、でも、たまには私と遊んで欲しい。
いつも学校や地域のことばかりで、デートだって行ったことない。一度くらい恋人らしいことをしたい。
このままじゃ私、ヒバリのこと嫌いになっちゃいそう。
なんてあり得ないことを考えながら屋上に向かった。
「あれ?」
屋上の扉の前で立ち止まる。
いつもなら開いてるはずの扉に鍵がかかっていた。
こんなのってないよ。
私は扉の前に座り込み顔を伏せた。
ワガママを言う私が悪いのはわかってる。ヒバリが忙しいのも、ヒバリのああいうとこを好きになったのも、それでもヒバリといたいと決めたのも私自身だ。
それでも、少しでいいから私を見て欲しいと思ってしまう。
「ふっ、うぅ……う」
溢れてきてしまった涙は自己嫌悪なのか、構ってくれないヒバリのせいなのかわからない。
でも止まらなくて、しばらくの間泣き続けた。
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