短編 | ナノ 「……は?」
なんとも間抜けな声がしたと思ったら、それは他でもない雲雀恭弥のもので。
今、私は何を言ったのだろう。
「あ、いや、あの……」
「ねぇ」
「は、はいっ!」
青くなる私とは逆に雲雀恭弥の顔は少しだけ赤くなっていた。
どうやら、本気で怒ってしまったらしい。本格的にもうダメだ。そう思った。
「今の、本気?」
ふい、と顔を逸らした雲雀恭弥は疑っているのか、目だけを私に向ける。
「今の……とは、」
「君は自分の言ったことも覚えてないの?
それとも、ふざけただけかい」
「いいいいえ!!おぼ、覚えてますとも」
あからさまに不機嫌になっていく彼に私は疑問を浮かべながも、もう一度さっきの言葉を発する。
「あなたの笑顔が、見たい、と」
二回目に言うとなんだか恥ずかしいセリフだな、なんて思って頬に熱が集まるのがわかった。
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