短編 | ナノ ドキドキとしながら応接室のドアを叩く。
しばらくすると委員長の声が聞こえて、より一層とドキドキする心臓を抑えて入った。
間違ってたら怒られるかな……文房具だったかもだし。なんて思考を巡らせるも目の前に座っている委員長は、私のほうなんて見ていなくて少し安心した。
「はい」
「……え?」
「経費返して」
慌てて経費の入っていた財布を委員長にお返しする。
短く返事してそれを机の中に仕舞う委員長。
とりあえず、ほっと息をつくもすぐに声をかけられた。
「それで、買ってきたの?」
「はい」
「なにこれ、こんなの頼んで」
委員長にパンをお渡しすると眉間に眉をひそめ、少し低い声で呟かれる。
私は焦ってそれに被せてしまった。
「あ、甘いものは疲れにいいと、聞きました」
だんだんと小さくなっていく自分の声。
委員長は被せてしまったにも関わらず私を咬み殺すでもなく、ただ見ていた。
エクレアを一口食べると委員長は
「なまえ……甘すぎ」
と呟いた。
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