短編 | ナノ ガシャン。
まるで私を逃がさないようにフェンスが音を立てる。
いまだに動かず、慌てる私を見て楽しんでるであろう雲雀恭弥を睨み付けた。
「今まで校則違反していた君を、やっと捕まえれる」
「降りてきなさい、雲雀恭弥!」
上にいる雲雀恭弥に向かって叫ぶ。
それでも彼はそこから降りてくる気配はなく、私は扉に走るための準備をする。
「逃がさないよ、みょうじ」
隙を見せない雲雀恭弥に舌打ちした。
しばらく睨み合っていると、飽きてきたのか雲雀恭弥が小さく欠伸をする。
今のうち!なんて走り出した私に何もしてこない雲雀恭弥。なんだか嫌な予感がしたけど、今を逃れれるならと扉に手をかけた。
「逃がさないって言ったよね」
ただ音を立てるだけの扉に、私はため息を吐くことしか出来ない。
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