短編 | ナノ
「いっ、や」

無理やり引き寄せた腕には紫色の痣がある。
気付かないふりをして、そこを掴めばなまえの顔が歪んだ。

涙が溢れる。
それまで我慢していたはずなのに、誰かが傷付けた時には泣かなかったはずなのに、僕が触っただけで涙を流したなまえ。
自分でも息が荒くなるのがわかる。苦しい。

「みょうじ」
「ひ、ばりさ」
「君は僕を拒否出来ない」

拒否なんかさせない、受け入れさせる。
そんなことを考えてなまえにキスをした。

時々、なまえから声が漏れる。
口の中が切れているせいで血の味がする。だけど、それが余計に僕を興奮させた。
わざと傷口を舐めると、痛いのかなまえは目を強く瞑り僕を叩いてくる。

別に叩かれていても痛いわけじゃないし、キスをやめるつもりもない。
このままでもいいけれど、僕は悪戯心でなまえの手を取り指を絡めた。びくりと体が揺れたのがわかる。








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