こんなにも眠れないのは何時ぶりだろうか。外はまだ暗く一帯静かだけど、そのせいで濡れた糸の様な小鳥の囀りが頭に響く。隣で寝ている彼はずっと奥の夢の中で僕は途方に暮れた。見ている夢が僕の夢、なんてことは無いんだろうか。ねぇ、僕は君の事を考えてこんなにも眠れないのに。

寝不足で頭が痛い。ズキリと走る痛みは甘く僕の思考を鋭く刺激する。眠れないよ、頭が痛くて、こんなにも君の事を考えているから。治すことができるのは君だけなのに相変わらず君は眠ったまま。

鈍い雨の音がする。屋根に跳ね返された、拒絶された雨が音を立て続け僕の鼓膜を震わせた。初夏の雨は生温い体温を連れてひっそりと僕らを襲う。湿っぽい空気が僕の首筋に汗を伝わせる、暑い。こんなにも暑いのに君はまだ起きてくれない。同じ時間を共有している筈なのに眠っているだけでこんなにも違うものなのか。僕と君は同じ部屋の同じベット、同じシーツに身を任せている。それなのに。

「朝だよ、起きて」

短針は四を越えて震えていた、目覚めた彼の睫毛と同じ様に。
早すぎる朝は僕の思いとして受けとればいい。


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