2010/06/14 後輩の受難(兵助SS/タカ丸視点)
名前は紅月カレンで固定



委員会に行く途中で、小さな女の子を見掛けた。その子の名前は紅月カレンちゃん。最近、委員会が一緒の兵助くんといる事が多い、ちょっと有名な子だ。どうして有名なのかというと、その、兵助くんとのスキンシップが度を超えているという噂があって、色々なところで彼女の名を聞く。実際のところはよくわからないけど、僕は食堂でカレンちゃんが兵助くんの膝の上に乗っているのを見たことがある。あながち、嘘でもないのかなーと思う。
そんなカレンちゃんが、兵助くん以外の人と一緒にいるのは意外だ。とはいえいつも兵助くんといる訳にもいかないから、彼女にも自分の世界があるんだろうけど。
カレンちゃんは6年生のくのたまの子たちと仲良く並んで歩いていた。成長した6年生と一緒にいるカレンちゃんは、一人だけ目立つ。背がちっちゃくて、よくぴょこぴょこ跳びはねているからだ。6年生はカレンちゃんと笑いながら角を曲がっていく。仲いいんだなぁと思う。兵助くんが見たら、嫉妬しちゃうのかなぁってくらいにはね。同性だけど。


委員会が始まってしばらくすると、カレンちゃんがやってきた。兵助くんが見付けて、ぱぁっと表情を変える。1年の伊助くんや2年の三郎次くんがびっくりして、二人の様子を見ていた。

「どうしたんだ、カレン」
「兵助を探してたらいないから、きっと委員会だと思って会いに来たの!」
「そ…か、俺もカレンに会いたかったよ」
「兵助…」
「カレン…」

周りを無視して二人の世界ができあがってしまった。僕や伊助くんはただびっくりしてたけど、三郎次くんはびっくりすると同時に顔を赤らめて二人を怒鳴った。

「お二人とも!自分の世界を作ってないで仕事して下さい!」

カレンちゃんは火薬委員じゃないけど、兵助くんがここにいるなら手伝うことになるだろう。けれど兵助くんがカレンちゃんのことを抱きしめたまま離したがらなかったので、二人は土井先生によって仕事を別々に任された。僕とカレンちゃんは一緒に火薬の在庫を確認する。うわ、兵助くん…そんなに睨まないでよ。いくら僕だって、こんな小さい子には手を出さないし…。

「僕は斎藤タカ丸。15才だけど、編入したてで4年生だよ。編入生同士よろしくね」
「紅月カレンです。こちらこそ、よろしくお願いします!」

カレンちゃんは笑顔で答えてくれた。うん、可愛いな。やっぱり女の子は笑顔でなくちゃ。
作業を進めながら、僕はカレンちゃんが同じ編入生とあって、少しその話をしてみた。

「それにしても、カレンちゃんもこの時期に編入だなんて大変だったね。もう少し時期をずらせれば、うまく新学期から入れたのに」
「私は元々、忍術学園に入りたかったんですよ。でも父が知り合いの経営するくのいち教室を推すので、説得に時間がかかってしまって…」
「そっかぁ…それってやっぱり、兵助くんがいるから?」
「もちろん!」
「二人は仲いいもんね。見てるこっちが暑くなるくらいだもん」

僕の言葉に、カレンちゃんは恥ずかしそうに笑う。
でも、こんなに兵助くんのことを想っているなら、親御さんも最初から忍術学園に入れてあげればよかったのになぁ…まだ1年生だけど、くのいち教室では既に仲いい子たちが固まってそうだし。せめて最初から一緒だったら、すんなり友達もできたはずなのに…

「そういえば、さっき6年生と一緒にいるところを見たよ。何してたの?」
「あぁ、勉強でちょっとわからないところがあったので、教えてもらってたんです」
「熱心だねぇ」
「編入生ですから、こればっかりは仕方ないですよ」

お互い様ですよね。と言ってカレンちゃんは苦笑した。
うん、僕も編入したてでわからないことばっかりだから、いつも同級生の滝夜叉丸くんたちに頼っている。気持ちはよくわかるよ。でも、カレンちゃんの場合は同級生じゃなくて先輩に聞いてるみたいだしなぁ…やっぱり、同級生とはまだ仲良くなれてないのかも。始終兵助くんにべったりで、友達と遊んだりもしてないんじゃないかな?

それから僕たちは作業を終えて、土井先生の元に集合した。カレンちゃんを見るなり兵助くんは抱きしめて、最初と変わらない状態になる。
解散の合図があって、僕はカレンちゃんといちゃいちゃしている兵助くんに話しかけた。

「ねぇ兵助くん」
「タカ丸さん、何かありましたか?」
「うん…カレンちゃん、独り占めするのやめない?このままだと、カレンちゃんに友達出来なくなっちゃうよ」

僕がそう言うと、兵助くんはキョトンとした顔で「そうなのか?カレン」と聞き、カレンちゃんはそれに首を振った。

「別に、何の問題もないけど」
「だそうで、用件は以上ですよね、失礼します」
「あっ、待ってよ兵助くん!」

無理矢理引き止めれば、兵助くんはちょっと嫌そうな顔をした。うわ、珍しい…じゃなくて、これもしかして怒ってる?

「タカ丸さんは一つ勘違いしています」
「勘違い?」
「僕がこうしてカレンを独り占めできるようになるまで、僕はどれだけ待ちわびたことか…」
「えーと、でもそれ、数ヶ月の話でしょ?」
「数ヶ月でも数年でも、時間なんて関係ありませんよ。僕はカレンから、一時だって離れたくないんですから」
「兵助…!」
「カレン…」

「そ、そう…」

僕との会話の最中だというのに、また二人の世界に入っちゃったよ…困るなぁ。
まぁでも、二人が良ければそれでいいのか。僕は応援するよ。二人とも、末永く、ね。



※※※※※※※
お久しぶりの兵助ロリ話です
勘ちゃんと迷ってタカ丸視点
この先どうしよう…全く先が見えない/(^o^)\


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