「エレンに何とかできるのかのう……その前に梗子」
ダンブルドアは諒子に目を向けた。
「今は本を読んでいる場合ではないぞ」
「……」
そう、諒子は校長室に来てからと言うもの、ずっと読書をしていた。
普通なら式神を操ったり、その情報処理をしたりで精一杯なのかも知れないが、諒子はそうではない。
むしろ同時に何百と言う式神を操ることだってあるくらいで、そうなるとこれは大変でもなんでもない。
ずっと興味もないやり取りを見続けるなど退屈でしかない。
そして、その不毛な時間は忙しい諒子にとってとてももったいないものだ。
だから、本を持ち込んでいたのだった。
「もしかしたら死人が出るかもしれないんじゃが……」
なるべく手出しはしないでほしいが、万が一のときはそうはいかない。
だからいつでも対応できるように、ダンブルドアは諒子にそう頼んでいた。
しかし、当の諒子は読書をしていてまるでやる気が感じられない。
「……問題ありません」
諒子はページをめくりつつ言った。
それはかなり説得力が無かった。
ダンブルドアは不安になったが、今まで依頼を失敗したことのない諒子を思い出し、これ以上何も言わなくなった。
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