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0919 高嶺の花主
ワンピース









大きなこの島の一際大きな屋敷の2階にいる男。ベッドの上にいるとわかる体勢で外を眺める美しい顔に、いつしか人は彼を高嶺の花と呼んだ。
どうも、高嶺の花の○○です。ちなみに今年で26歳ね。いい加減そのキャラもキツくなってきた頃合。
顔面偏差値ハーバードで生まれたのはいいけど体弱くてワロタ。別に死ぬとかそんなんじゃないけどことある事に寝込んじゃうからもうベッドの住民よ…パパンとママンも俺をでろでろに甘やかすからこの年まで島の外に出たことない立派な箱入り息子。このまま棺桶に入ったらホントの箱入り。ワロエナイ…。
お外いいなーとベッドの上で外眺めてたら高嶺の花とかあだ名付けられるし俺の人生なんなんだろ。このまま儚く散る予感しかしない。何者かの陰謀を感じる。
いつか海を渡って別の島に行きたい、てのは誰にも言えない俺の夢。




「誰か俺を連れ出してくれないかなぁ…」























『お次は某島の御曹司!』




それがまさかこんな形で叶うなんて。
首と手に付けられた鎖がジャラリと音を立てて引っ張られる。ステージに出された瞬間、たくさんの人の視線が俺に集中するのがわかった。まさか、島を焼かれて奴隷にされるなんて。俺の儚いと思っていた人生は案外汚れたものだったらしい。俺を奴隷としてどうやって使うかなんて考えたくもないのにベラベラと喋る男に使い道を聞かされた。
吐き気と頭痛が治まらない。この分じゃすぐに死んじゃうかな。なんて思った時、周りの人間が一斉に倒れた。




「やれやれ、大丈夫かい?」




ジャラリとした鎖の音に振り向けば白髪の老人が自分で枷を外して歩いていた。これ、爆弾ついてるって聞いたけどどうやって?それよりなんでみんな倒れている?あなたは誰?




「…助けてください」




ぐるぐる回る思考の中で、真っ先に出た言葉に老人は目を丸くして微笑んだ。もう帰る家はない、けれど生きないと。
俺の手から枷が外れた。




End