奇跡的にオフの日が重なって、その前の日から泊まって良いということになり、練習終わりの近藤さんと待ち合わせて夕飯を済ませ、久しぶりに近藤さんの家に来た。
見たかった試合のビデオを見て、色々話をしていたら結構な時間が経っていた。
近藤さんの顔を見れば、少し眠そうな顔をしていて可愛いと思った。もちろん口には出さない。

「そろそろ寝ますか?」
「あー、岩淵先風呂使って。俺寝るとこ準備するから」
「眠いなら近藤さん先に入った方が」
「いい。逆に風呂で寝そう。あるもん勝手に使って良いからな。タオルは後で持ってく」
「じゃあ一緒に」
「あ?」
「すみません。行ってきます」

よし。と言って近藤さんは寝室があるであろう部屋に入って行った。
少しだけ気を落としつつ、言われた通り大人しく風呂場へ向かった。
元々そんなに長く風呂に入るわけではないので直ぐに近藤さんと交代した。

リビングで近藤さんを待っていると、ひたひたと廊下を歩いてくる音が聞こえて振り向けば、短パンだけはいた状態で水を拭いている姿が目に入って、慌てて目を反らした。
心臓がうるさい。

「なんで上、」
「持ってくの忘れたんだよ。何、恥ずかしがってんの?」
「気のせいです…」
「ふうん、」

特に気にするでもなく、近藤さんは上を着て、ソファに座った。
風呂上がり独特の良い匂いがして、抱き締めたいと思ったところで、近藤さんと目が合う。

「なんだよ」
「…なんでもないです」
「言いたいことあるなら言えって」
「…抱き締めたいです」
「なんで」
「良い匂いがするので」

思わずぽろりと零れた本音にしまった、と思ったが、ぎゅっと、身体に少しだけ重みが加わったことで途端に頭が真っ白になる。

「おんなじ匂いだと思うけど?」
「っ近藤さんの方が良い匂いです!」
「ははっお前すっげー心臓早くね?」
「だって、近藤さんが!」

くつくつと余裕そうに笑う近藤さんが悔しくて、抱き締め返そうと思ったら、するりと、その温もりはいなくなってしまった。

「え、」
「なに?」
「…………」

なんとなく負けた気がして、離れてしまった温もりを抱き寄せる。
再びくつくつと笑い出した近藤さんを少しだけ睨み付ければ、ゆっくりと背中に回ってきた腕に気分が良くなり、更に強く抱き締める。

「好きです」
「……お前って普段へたれなのに突然強気になるよな」
「へたれって…」
「まあ、そんなとこも好きなんだけど」

風呂上がり、うっすらと滴る水、匂い、仄かに染まった頬、目の前に愛しい人。くらり、目眩がした。




20111006 HappyBirthday!ぜくちゃん!



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