世良さん、世良さん、好きです。大好きです。嘘じゃないですからね!本当に、本当に、好きです。だから、ザキさんのところに行かないで下さい。
なんて、絶対に口に出せない言葉がぐるぐる頭の中を巡って、すとん、と何処かに落ちていってしまったのも何度目だろう。
弱い部分がこんなところにまで顔を出す自分に嫌気がした。

世良さんにとって、練習後のあれは何気ない一言だったのかもしれない。それでも俺はすごく嬉しかったし、それ以上に愛しかった。


(世良さん、今頃ザキさんとかとご飯行ってるんだろうなあ、)

折角誘ってくれたのに、失礼なことをしてしまったかもしれない、なんて、今更後悔したって遅いのだけど。


「子供だよなあ、」
「なにが」
「え?えええ?!」
「鳴らしてんのに出ねーんだもん。電気点いてるし試しにノブひねってみたら開くしさー。寮だから安全かもしんないけど、もう少し気を付けろよなー」

にしてもお前の部屋キレーだな。あ、いや、物がないだけなので。
両手に持っていたスーパーの袋をテーブルの上に置いて、世良さんは俺の正面に座った。

「え、世良さんザキさん達とご飯食べに行ったんじゃないんですか?」
「なんで俺が赤崎と飯行くんだよ!俺は今日つばきと飯の気分だって言ったじゃん!つばき行くっつってたのに突然行かないとか言うしさー。俺と飯食うの嫌なのかよー」
「いえいえ!全然!むしろ一緒に飯行きたかった、っス」
「じゃあ、なんで行かないなんて言ったんだよー」
「っと、」

つーばーきー。えーっと……
ぐぐぐ、と寄ってくる世良さんから目を反らす。間にテーブルがあって良かったと思った。
そんなことより飲もうぜ!と言って、世良さんがガサガサと袋からチューハイを4缶取り出す。
もう一つの袋からはお惣菜とつまみがいくつか出てきた。

「明日練習あるから2缶ずつな。っし、つばき、どっち!」
「え、あ、桃、で!」
「じゃあ俺グレープ!はい、乾杯!」
「か、乾杯?」

あー腹減った。あ、ご飯いりますか?あんの?!
自分でご飯を作ろうと思っていたからご飯を炊いていた、と言うことを世良さんに伝えて、お椀にご飯をよそって渡す。
ついでに自分の分と、冷蔵庫から食べられそうなものを出して、テーブルに並べた。

「つばき料理できんだな」
「っと、一応、」
「これうま」
「そういえば、なんで乾杯なんスか?」
「は?今更それ言うかお前」
「ッス」
「あー、ほら、練習後に言ったじゃん。カレンダー!」
「あ、ああ!」
「俺と、つばきの日だから、乾杯!」

熱が顔に集まるのがわかる。
言って世良さんは左手に握っていたチューハイを飲み干した。新たにもう一缶開けて、世良さんの箸が次々とお惣菜にのびる。
チラリと世良さんを見れば、自分で言ったのに耳を真っ赤にしながらお惣菜を食べていた世良さんと目が合って、なんだよ、と食べていた手を止めて言われた。

「つーばーきー」
「スンマセンっ!」
「……まー良いや。早く食わないと俺が全部食っちゃうからな!」
「たっ食べます!」

誤魔化すように慌てて箸をのばす。勢い良く飲み込んで、喉に詰まって噎せてたら、お前慌てすぎだろ、って言って、太陽みたいに明るく笑う世良さんがいた。




title by.イエデ



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -