もしかしたら、っていうか、むしろ他の人に話したとしたら、絶対におかしいって言われる、と思う。それになんか恥ずかしい、し。
だから、誰にも言えない。
最近、赤崎が妙に格好良くみえる。なんて。



練習が終わって、ぼうっと歩いていたら「あ、ぶなっ!」という声とともに両脇下からガシリとホールドされた。
やけに高いと思い、下をみれば地面から少しだけ足が浮いている。

「世良さん何やってんスか」
「え、は?赤崎?」
「か、い、だ、ん」

言われて下をみれば、確かに階段。
一段高い位置から、落ちる直前に持ち上げて、助けてくれたんだとすぐにわかった。

(っていうか、なんか、ちか、い)



「前も見ないで。落ちたいんですかアンタは」
「っ、ちっげーよ!考えごとしてたんだっつの!」
「へえ、世良さんでも悩みあるんだ」
「お、ま、え、は!」

オレをなんだと思ってんだよ!ちっさい先輩。キーッ!
暴れてやろうと思ったら、落ちますよ、って言われてやめた。
怪我はこの間ので懲りたし、階段から落ちて試合出れないなんて、ださすぎる。
(そしてオレのときめきを返せ…!)


「赤崎、もう大丈夫だからいい加減下ろして」
「はいはい、下りますよー」
「は?う、わっ!」

落ちる!落ちる!ちょっ、と!暴れんなよ!
赤崎が、オレをホールドしたまま階段を下りるもんだから、足は浮いてるし、揺れるし、で怖い。そしてなにより、さっきよりも顔が近い。
怖い、怖い、よりも、恥ずかしい。
耳元で聞こえる息遣いとか、密着した身体とか、なんか色々。


(う、わ、)


下りきったところでやっと解放されて、ゆっくりと息を吐く。短い階段だったけど、いつもより長く感じた。
まだ、胸がドキドキしてる。ヤバい、何これ。好きになった女の子と初めて話した時みたい。

(だって、これじゃあ、まるで、)


「っつーか、世良さん軽すぎじゃないっすか?」
「なんで、そんな」
「世良さん?」


下から覗いてきたどこか心配そうな赤崎と目があって、いろんな感情がふつふつと湧いてきて、恥ずかしくって、苦しくて、思わずその場から走って逃げた。




(こんなの、うそ、だ)





title by.amr


※続きません。
中途半端のまま終わる^^



20100731





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