ドタンっ、と大きな音のした方に目を向ければ、結局連れてきた子供、世良がベッドから落ちてびっくりしたのか、目を大きく開いてキョロキョロと回りを見ていた。
ふと目が合うと、慌てたように立ち上がって、こちらに駆けてきて、またしがみついてきた。

「懐かれてんなー」
「はあ?」
「あ、オレ丹波ね。た、ん、ば。タンさんで良いよ」

ちらりと丹波に顔を向けて、たんさん。と小さな声で世良は呟いた。
それに気を良くした丹波が、世良の頭を撫でると、世良は嬉しそうに笑って、丹波の方に振り返った。
(人懐っこい笑顔、だ)


「たんさんは、さかいさんの友達?」
「そー。友達」
「じゃあ、オレも友達?」
「世良はオレと友達になりたいの?」
「、は、い!」
「じゃあ友達な!あと、右が石神で左が堀田。あの二人も友達な?」

丹波が指差した方をみて、大きく頷き、また、にっこりと笑った。


「さかいさん、さかいさん!」
「あ?」
「タンさん友達だって!」
「良かったな」

どうして、こんなにも懐かれてしまったのか。会ってまだ間もないのに、こいつは疑いもなく、オレに近寄ってきた。
(誰かに、似ているのか?)


「世良は堺にべったりだね」
「オレが何をしたってんだよ」
「だって、さかいさん、オレと似てる、かな、なんて」
「は?」

一体どこがどう似てるってんだ。という言葉は飲み込んで次の言葉を待つ。
丹波、興味津々な様子で、オレと世良を交互に見比べて、首を傾けた。

「世良、どこもにてないぞ」
「あ、や。顔とかじゃなくて…」
「雰囲気?」
「っていうか、さかいさんも寂しがり屋ですよ、ね」

あ、違ったらあれなんですけど。と段々語尾が小さくなって、不安そうな瞳とぶつかる。
正直、そんなこと言われるとは思わなくて驚いた。それに、今までそんなこと言われたのは、丹波にぐらいだ。
やっぱり、あの時目があった時点で見透かされてたのかもしれない。

丹波も、オレの昔のこととか少しだけ知っているからか、目を見開いて本気で驚いているようだった。


「一人でいるより、二人でいる方があったかいし、寂しくない、っす」


だから一緒にいたいって、思いました。


そうかよ。と小さく呟いて頭を撫でる。
あまりにも素直で、くもりないその言葉が、自然と重く、のしかかってくる。
きっとまだ、それを理解することは出来ないだろうけど。






「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -