堺さんが先生、世良が生徒

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(あああ!堺先生、今日もかっこいい!しか、も白衣!レア!)
体育とか美術とか、大好きな科目がない今日、唯一楽しみにしていたのがこの、堺先生が担当する数学だった。そんで、クラスの中でこの授業をすっげーまじめに受けてんのも唯一オレだけ。
スポーツクラスだし、運動に優れた奴らばっかだから、どの授業だってまじめに受けてる奴の方が少ないけど、数学は特に少ない。っていうか、オレ以外にいない、と思う、いや、椿もか。
現に、堺先生の話全く聞いてないし。いや、オレは聞いてるけど!

「テスト返すから、名前呼ばれたら貰いに来い。赤崎、」

堺先生が淡々と生徒の名前を呼んでテストを渡していく。受け取った連中はぎゃあ、とかなんか言って周りの奴とテスト見せ合って叫んでる。

「世良さん」
「んだよバカサキ」
「呼ばれてるけど?」
「は、えっ?!」
「セラァァ!テストいらねぇのか!」
「あああ、い、ります!いります!」

本当はいらないけど!って言葉はぐっと飲み込んで急いでテストを貰いにいく。
堺先生は、チラッとオレを見て、一つため息をついてから、テストを手渡した。(あああ、ヒドい点数……)

「世良、お前、今日補修な」
「ええ!なんでっすか?!」
「周りの奴の点数聞いて考えろ」
「ううう……」

そりゃ堺先生の補修受けれるのは嬉しいけど、嬉しいけどさあ!サッカーやる時間が短くなるし、っていうか下手すりゃ出来ないかもしんないし、あああ…!
百点満点中20点しか取れてないテストを握りしめながら席に着くと、赤崎が横からテストを見てきたので慌てて隠した。

「みんなよ!」
「世良さん20点って…」
「うるさいバカサキのくせに」
「オレでさえ75点なのに」
「なっ、」

なんで数学の時間爆睡の赤崎が75点でまじめに聞いてるオレが20点……って頭の作りが違うからか、悔しすぎる。

「あ、でも世良さんこれ出来たんだ」
「なにが?」
「こ、れ」

赤崎が指した唯一大きく丸の付いた問題を見て、頷く。だって、授業中堺先生この問題いつになく丁寧に説明してたし、最後の授業で出すって言ってたし。
だから、この問題だけは解答覚える勢いでやった。
かわりに他はだめだったけど。

「なんなら数学教えようか?」
「いい、どーせ今日居残りだし」
「はあっ?!」
「赤崎お前うっさい」
「だって、あああ、なんで、そう、あんたは…!」

ぶつぶつとわけのわからない文句を言う赤崎はほっといて、斜め前に座る椿のテストを覗きこむ。あ、60点かよ。朝練の後だと寝てるクセに。どいつもこいつもなんだってこんなにできんだよ。

「あ、れ」
「世良さんは何点だったんですか?」
「椿、聞いたら可哀想だぜ?」
「ほっとけバカサキ」
「バカにバカって言われたかねーよ!」
「椿もこれ、間違えたんだ」
「あ、はい」

全然わからなくて、って困った顔をした椿は、オレの解答をみて、びっくりしてる。そりゃ、他が出来てないのにオレが出来てんだもん驚きもするか。


「どーせたまたまでしょ」
「たまたまじゃねーよ!」
「世良うるせぇ!」
「ぎゃっ!なんでオレだけ?!」




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