(ちょっと待て。なにこの状況……!)

自主練終わって、シャワールーム出てタオルで頭拭いてただけなのになんで目の前に赤崎がいんの?!
え、何、オレ、なんかしたの?!

「あ、の、赤崎さん、すごーく近いんですが」
「…………」

え、無視?!オレかなり的確に指摘してんじゃん今の問題点!なのに無視かよ!
とりあえず赤崎から離れよう、と思って一歩下がれ、ば、赤崎も一歩前進。もう一歩下がれば、例の如く赤崎も前進。
(なんでだよ!意味わかんねーよ!)

「え、いや、なんで?!」
「なにがッスか?」
「なんでお前近づいてくんの!?」
「……世良さんさあ、」
「う、わ」

とん、と肩を押されて、膝の裏になんか当たってそのままの流れで座ったら、赤崎がロッカーの仕切りに腕をついた。
まさか、と思って左右をみたら壁、後ろも壁、で、目の前に赤崎。
完全に囲まれた。
しかも逃げらんないし。
これ、もしかしなくてもピンチ?

「警戒心とかないんスか?」
「…はあっ?!」
「……………堺さん」
「え、堺さん?」
「うん、堺さん」

堺さん、が何?なんでここでいきなり堺さん?オレ、堺さんになんかしたわけ?


「わかんねーかな?」
「…………」
「さっき、堺さんに抱きしめられてたよな?」
「……はあっ?!」

赤崎がぶつぶつとオレには聞こえないような小さな声で何か言ってるけど、そんなことより、何でそんな、オレが堺さんに抱きしめられてた、とか。


(ただ、思い当たる節は、ある……)


「あかさ、」
「世良さんも世良さんで抵抗しないし」
「〜〜っ、違うっつの!」
「何が?何がどう違うんスか?」
「あ、れ、は!オレが赤崎と帰ろうと思って急いでたら角から出てきた堺さんにぶつかって、転けそうになったとこ引っ張ってくれたんだっつの!」

一息に言ってやったら、赤崎は一瞬よくわからない顔をした後、ふと、思い出したようにニヤリと笑った。

「つまり、世良さんはオレにおいてかれると思って焦ったんですよね?」
「それだと意味が違うような……」
「いや、あってますよ」

途端、赤崎の表情が変わる。
射抜くような視線から逃げるように顔を逸らせば、やっぱり警戒心ないッスね、なんて声が耳元で聞こえてびっくりして顔を向けたらそのまま奪われた。



(オレは、その目を知ってる、)





title by.amr

20100701








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