ずっと一緒だ何て言って笑い合って。
貴方が隣にいることが何より幸せで。

でもそんな小さな幸せはすぐに消え去ってしまうと、わかっていたの。














月の綺麗な夜でした。
小さな空き地で愛しい貴方と待ち合わせ。


少し遅れて来た貴方に私はにっこりと笑いかける。
いつもなら駄々をこねて貴方を困らせるのだけれど今日は少しでもいい子でいようと勤めるわ。


だって、



ついに明日、最終決戦が始まる、から。




私のボスと敵対するマフィアのボス。
それが貴方。沢田綱吉。

敵同士だってわかっていたのに、惹かれあってしまった私達。

そんな私達の関係も今日で最後ね。








笑顔でお別れするつもりだったの。
笑っていつも通りにばいばい、って。

いつも我儘ばかり言って困らせてばかりいた私の最初で最後の貴方への優しさ。





なのに…





「ブルーベル」

貴方が真剣な声で私の名前を呼ぶ。


「明日から、俺達は敵同士だね」

「嫌っ!!止めて!!」


その先を聞きたくなくて思わず勢い良く彼に抱きついた。

目を逸らしても駄目だってわかってる。
でもどうしても受け入れられない。


「それ以上先は言わないで…!!」

貴方を抱きしめる腕に力を込めた。
そんな私の髪を軽く撫でて彼はまた口を開く。


「俺は本当にブルーベルの事が大好きだったよ」


その言葉に思わず貴方を突き放した。


「やめてよ…どうしてそんなこと言うの?これからもずっとずっとブルーベルの事を好きでいてよ…!!」


嗚呼、私結局また我儘を言ってる。
辛いのは貴方も同じなのにね。

でもどうしても抑えきれないの。
貴方が、好きだからよ。



「ごめんな…ブルーベル。こんな風になるのわかってたのに…好きになって、ごめん」

「馬鹿、ブルーベルは幸せだったよ。
例えこの幸せが今終わっても貴方に、綱吉に会えて、よかった」


そう言って軽く笑みを浮かべると今度は彼に抱き寄せられた。


「明日の決戦でどんなに未来が変わっても、俺は絶対にまたブルーベルを見付けるから」


こんなこと無理に決まってる。
でも彼のこんな震える声を聞いたら嘘吐きだ何て言えない。

そして笑顔を見せる事も、出来ない。





「約束、してよね…」


零れ落ちるのは間逆の言葉と、涙。





夜が明けたら私達は敵同士。
だからどうかそれまでは抱きしめていて。嘘吐きな私の愛しい人。
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