※幼馴染設定



「……ハァ」

水泳部の合宿の為に走るバスの中、ブルーベルは溜息をついていた。

彼女は数日前、紆余曲折はあったものの想い人であるツナとようやく恋人同士となった。

…のだがそんな矢先のこの合宿。しかもまさかの一週間。

まあ惚気なのだが、彼女にとって重大な事だった。

「早く終らないかなぁ…」

因みに合宿初日である。

だが、めげなかった。
彼女には秘策があったのだ…



昼頃、ツナは自分の部屋でだらけていると、携帯の着信音が鳴った。

画面には“ブルーベル”の文字。

「もしもし、どうしたの?」

『別に何でもないんだけどね』

「…はい?」

『それよりも、浮気してないよね?』

「するわけないでしょ!?」

『ハハハ』

そんな会話をしている内に、ツナがある事に気付く。

「ブルーベルって今、合宿中だよね?」

『そうだよ』

「確か携帯、持ち込み禁止じゃなかったっけ?」

『…』

「…」

『…じゃあ、もう練習の時間だから!』

「何!?今の間!?ちょっとね『バイバ〜イ』

ツーツー…

明らかにごまかされた。

その後も彼女からの電話が続いた。
夕方、夜、深夜、朝、昼、その間にも数回、それが三日も。

そして…



「本当にどうしたの?」

『ニュ?』

「携帯禁止されてるのに破ってるし…先生に見つかったらどうするの?」

『…』

「…」

『……ツナはさ…』

「ん?」

長い沈黙の後、ブルーベルは自分の想いをツナにぶつける。

『ツナはブルーベルに会えなくて寂しくないの!?』

「え…」

『私は寂しいよ!やっとツナの恋人になれたのに、一週間も会えないなんて…』

電話越しで泣く彼女にツナは、彼女にとって自分と付き合えた事が本当に嬉しかったのだと、ようやく気付いた。

『ツナに会いたいよ…ツナの声が聴きたいよ…』

(オレって本当にダメツナだよな…)

「ごめん、気付けなくて」

『…ニュ』

「オレだってブルーベルに会えなくて寂しいよ」

『うん』

「だから、また電話してよ」

『うん!』

「でも真夜中に電話するのは止めて」

『ニュ…ごめん』



翌日の朝

鳴り響く着信音に、ツナは寝ぼけ眼で携帯画面を見る。

相手は……言うまでもない。



本日も相次ぐラブ・コール



『おはようツナ!今日も大好きだよ!』

「オレも…好きだよ」



end.
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