32.pride


side ルキア


妹たちをコンに任せ、私は一護の許へと走った。

…莫迦か、私は…。
出てきたはいいが…、どうする気なのだ一体。
こうして一護の許へ駆けつけて…。
一体何をするというのだ!?

今の奴を動かしているのは自責の念だ。
そして今の奴は

死神となって初めて自分自身の為に戦っているのだ!!

そんな戦いに私が手を出して勝利したところで、
一護はそれを喜ぶだろうか。
そしてーーーー…。

私は一護の霊圧を感じ止まる。
そこには傷を負い、傷だらけの一護の姿があった。
早く治さねば、そう思った瞬間思い出す。

「手を出すな!!」

私が手を出して勝利したところで…、
一護は決してそれを喜びはしない!
そしてそれ以上に。

「誇りはどうなる?」

あの人の言葉が頭をよぎった。

「お前が今力を貸せば、なるほど奴の命は救われるだろう。だがそれは同時に、奴の誇りを永遠に殺す事になる」

「誇りがなんだというのですか!!命に比べれば、誇りなど!!」

「いいか、よく憶えておけ。戦いには2つあり、我々は戦いの中に身を置く限り、常にそれを見極め続けなければならない」




命を守るための戦いと


誇りを守るための戦いと





そうだ、私は………手を出してはならぬ戦い…!!


「…手を出すな…!」


自らの腕を力強く握る。


「手を出すな、手を出すな、手を出すな」


必死に自分に言い聞かせる。


「手を…出すな……。…死ぬな…!…一護……っ!!」


私はすがるように願った。



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