30.graveyard


side 一護


俺は奴の攻撃を避けながら場所を移動していた。


「!」


毛に腕を絡め取られるが、毛を斬り落とす。


「ああああああああ!!!!」

「のろいぞ、小僧」

「な……っ!!」

「ひひっ!!」


奴は思ったより速くて、
気づけば俺の後ろにいた。
紙一重で何とか奴の攻撃をよける。


「くそっ!」

「ひひっ、ひひひ!どうした、小僧!!そうして逃げておるだけでは、このわしを傷つけることなぞできんぞ!そうして力まかせに刀を振り回すだけでは、このわしを倒すことなぞできんぞ!!」


喋りながらも、攻撃をしてくるからそれを避け続ける。


「その程度の力量で仲間に“手を出すな”、などとよくぞ吐いたものだ!!のう、小僧!!!」


くそ……っ!
デカイ図体してるクセになんつー速さだよ…!
間合いを詰めることもできねぇ……。
攻撃を払いのけるだけでいっぱいいっぱいだ…!!
このままじゃ、こっちの体力尽きたらおしまい…。


…違う!何を考えてんだ、俺は!!
こいつはおふくろを殺した奴だぞ!!

おふくろが死んで、
遊子がどれだけ悲しい思いをしたか知れねぇ……。

おふくろが死んで、
夏梨がどれだけ淋しい思いをしたか知れねぇ……。

護るって決めたんだ、今がその時じゃねぇか!
俺がこいつを…、倒すんだよ!!


「おおおおおおおおおぁ!!!!」

「迂闊だと、言われなかったか?小僧。そうして策も無しに敵の懐に飛び込むのは!!」

「く…!!」


奴が手をこちらに伸ばしてきたから、
慌てて斬魄刀で受け止める。


「そら気を抜く!!そこが迂闊だと言うのだ、小僧!!」


すると奴は斬魄刀を掴むと、
爪を伸ばして俺の体を突き刺した。


「…げほ……っ」



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