28.enemy


side 一護


「…だが、その運もここまでよ。この姿を見た以上…お前の魂、喰わずに帰すわけにはいかん」

「…どういうことだよ…。さっきのガキ…、テメーの体の一部だったのか…」

「グランドフィッシャー」


するとルキアが後ろから現れた。
グランドフィッシャー、それがこいつの名前か。


「奴の呼称だ。自らは姿を隠し、首から生えた疑似餌に人の形をとらせ、それが見えた人間…。つまり霊的濃度の高い魂を持つ人間のみを襲って喰らう」


持っていた機械から紙を出す。


「そうすることで自らも高い力を得、54年の長きに渡って我々死神を退け続けてきた。そういつ奴だ。知名度は中の上、ほれこうして尸魂界のデータベースにしっかりと記録が残っている程度には、名が知れておると言うことだ」


ルキアから渡された紙を読む。


「言うね、ガキ」


そこにはそいつが今までやってきたことが記されていて、そこには………。
俺は思わずその紙を握りしめた。


「それにしても、わしの姿が見える奴が多い。大漁だわい、ひひっ!」


あの時、俺が助けようとしたのはこいつの疑似餌で…。
それはつまり、俺がこいつの罠に嵌ってたってこと。


「嬉しや、嬉しや。ひい、ふう、みい」


それはつまり
おふくろはこいつにーーーーー


「参ったの、こりゃぜんぶわしの腹におさまりきるかの。ひひひひひひっ!」


こいつの笑い声がむかついた。
こいつは、おふくろの仇だ…!!!!!


「一護っ!?」


俺はグランドフィッシャーに斬りかかる。


「ああああああああァ!!!」

「ばっ…」


斬魄刀を振り下ろすが、そこに奴の姿はなくて
上に飛んでいた。


「迂闊だ、莫迦者!!」

「ひひっ、青いの…小僧!」


奴は俺が斬り落としたはずの腕を再生させて、
腕を伸ばした。


「じゃアッ!!!」


それにすっ飛ばされるけど、何とか体制を立て直したら既に近くまで飛んできてて、
毛が俺を覆った。


「一護!!…自壊せよ!ロンダニー二の黒犬!!一読し!焼き払い!自ら喉を掻き切るがいい!!」


ルキアがなにかしようとしてるのがわかったから叫ぶ。


「やめろルキアあ!!!!」


毛を斬って着地する。


「一護!!」

「ルキア!…今回オメーは引っ込んでろ…、俺1人でやる。お前はコンと一緒に遊子と夏梨を頼む」

「ばっ…、莫迦を言うな!奴は強い!言ったろう!奴は50年以上も死神を退け」

「うるせぇ!!……頼む…手ぇ、出さないでくれ」


これは


「これは、俺の戦いだ」



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