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 ローゲンがエージェントとしてUN-0で暮らし始めてからしばらく経った頃、ローゲンは司令部に顔を出すようにと命令が下ったため、ローゲンはガンダルに連れられて司令部へと顔を出すことになった。
 司令部が置かれている場所も、基地同様に地図には記載されず、表面上存在しない事になっている。司令部に着いた二人は待合室である人物を待たされることになった。ソファに座りながら、ローゲンは眉を寄せていた。
「何故、俺が司令部に呼ばれるんですか?」
 ローゲンは怪訝そうな顔でガンダルに問いかける。ガンダルは一服しながらローゲンを見やる。
「さあな。俺の聞くところによると、お前の経歴にココのボスが興味を持ったみたいだぞ?」
 ローゲンはますます疑惑の念を深める。自分の経歴にこれと言って興味を持たれるような要素は無かったと記憶しているからだ。
「ま、会ってみろよ。俺でもちょっと気が引き締まっちゃうような人さ」
 ガンダルの蒸したタバコが灰皿に落とされた。
「やあ、待たせて申し訳ない」
 二人の座るソファの前に現れたのは、東洋人だが少し堀が深く、口元に整った髭をたくわえた男だった。声は柔らかく、英語の発音やイントネーションになんの違和感もない。寧ろこちら側の発音に不安を覚えるような、流暢な英語を話す男だった。雰囲気は、日本にどこにでもいそうな優しいサラリーマンといったものだ。
「ローゲン、この人がこの司令部を取り仕切る漣秀臣さんだ」
「よろしく、ローゲン君。話は聞いているよ」
 ローゲンは漣秀臣に求められるままに握手を交わすしていると、ガンダルがその場を去ろうと立ち上がった。
「すまない、これから介入があって。俺の役目はお前をここに連れてくることだったんだよ」
 そう言ってガンダルは背中を向けて行ってしまった。ローゲンは、柔らかく微笑む秀臣に招かれ彼の職務室へと入った。
「やあ、本当に待たせてすまなかったね。最近は特に忙しくて」
 秀臣た黒いチェアに座って、ローゲンも座るように促す。座るとすぐにパソコンの電源を入れて作業を再開するあたり、ローゲンと会う時間も惜しいほど忙しいのだろうと伺えた。
「あの、俺は何故?」
「ああ、実はね―君の奥さんの事について、話しておきたい事があってね」
 パソコンから目を離して秀臣はローゲンを見た。その目に先程の柔らかい光は灯ってはいなかった。悪寒がするような鋭い威圧があった。
「単刀直入に言おう…君の亡くなった妻―絵理子さんはね、私の妻のから造られた人間なんだ」
「は…?」
「遡る事二十数年前―」

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