06
――一ヶ月後のロサンゼルス。
『一ヶ月後の六日に、ロサンゼルスの、きっかけとなったあの場所に来てくれ』
そう書かれていた場所でジョンは、スコットを待っていた。ジョンは緊張していた。もう少しでスコットに会うのだと思うと、やはり緊張が拭えなかった。
「こんなところ呼び出して、またあんな事あったらどうするんだか…」
「それはないさ」
背後で聞こえた声に振り向くとそこには、以前とは成長していて雰囲気の違うスコットがいた。ジョンは、なんとなく子供の頃の面影が残っているスコットを見て、懐かしさに目を細めた。
「スコット…」
「もう五年も経ってる。もう力はコントロール出来るだろ?」
「本当に、あの時はごめん」
ジョンは、俯きながら謝罪した。スコットはゆっくりとジョンに近寄って、ジョンの肩に手を置いた。
「あの時お前がいなかったら、ナイフで首を掻き切られてとっくに死んでた。お前がいたから…とっくに許してるよ、ジョン。だからまた、友達をやり直そう」
ジョンは顔を勢いよくあげた。その瞳には涙が滲んでいて、今にも溢れてしまいそうだった。
「…もちろん」
ジョンはようやく、心のしこりをとることが出来た。
「それと、かなり遅れたけど…誕生日おめでとう、スコット」
ずっと言いたかった言葉を口にしたジョンは、心の底からの笑みを浮かべる。五年間一つだった影が、再び二つになった瞬間だった。
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